学校に着いても、私は自分の席でその事ばかり考えていた。

机に両ひじをつき、手の上に顔を乗せた格好のまま固まっていると、目の前でヒラヒラと誰かの手が動いた。

「さーお」

「……あ、アキラ」

見上げると、旭が私の顔を覗き込んでいた。

「どうしたの?朝から虚ろな目して」

「んー」


私の脳は考え過ぎで既にパンク状態だ。

人生16年生きてきたけど、こんなに悩んだのは初めてじゃないだろうか。


「さお、大丈夫?」

「あんまり大丈夫じゃない」

「何かあった?よかったら聞くけど」

そう言われても、一体どこから話せばいいのか分からないな……。


「克幸のヤツが……」

私は、その先をこっそり旭に耳打ちした。