オリオールの乙女


「先ほど、バルバラ様に呼ばれておりました」

一番背の高い女がそう言った。

「そう……」

何だか、ノエルの胸に悪い予感が横切った。

彼女がウノのジュースを手に取ってそれを飲もうとした。
するとそれまで膝の上でおとなしくしていたココットが、毛を逆立てて怒ったように鳴き始めた。

「どうしたの、ココット」

ノエルがなだめようとすると、ココットはそのグラスに飛びついて、地面に叩き落した。

パリン!と鋭い音を立ててグラスは割れ、中のジュースが床に飛び散った。

慌てて給仕たちが近寄ると、薄ピンクの液体の中に、赤い粉が混ざっているのが見えた。

「まさか……」

ノエルは、それを見て真っ青になった。