昼過ぎ、修理を終えたボドワンは時計台へと帰っていった。それと入れ替わりに花屋のマルコヴィッチが姿を現した。
「ごきげんうるわしゅう、プリンセス!」
彼はお決まりの文句と、愛嬌のある赤いほっぺでノエルに挨拶をした。
そうして、花の沢山つまったかごから、白、青、ピンクの花びらの愛らしい花を差し出した。
ミルモというその花は、女神のほほえみ、という花言葉を持っていた。
「あら……」
いつもと変わりないマルコヴィッチを見て、ノエルは目を丸くした。
ノエルはあの出来事を聞こうと思ったが、少し怖くなって聞けなかった。ミルモを受け取って笑顔で礼を言うと、彼は照れたように鼻をかいてお辞儀をした。

