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一晩中、ノエルはベッドの中で試行錯誤を繰り返していた。
一睡もできぬまま朝日が昇ろうとしていた。
朝日がルカッサの街並みを照らすのを窓から眺めながら、ノエルは心の中に熱いものを感じていた。
今までとは違う冴え渡った朝だった。視界は晴れ、頭も今までにないくらいすっきりとしている。
彼女は、ようやく躊躇いを捨て、決心をした。
すると、ノエルのドアがノックされた。彼女は慌ててガウンをかける。
「ノエル様、お客様です」
「どうぞ」
彼女に来訪者など珍しかった。
思い当たる人を考えあぐねていると、小柄で白髪の老人が姿を現した。

