それを聞いたバルバラは、高笑った。
この沈んだ雰囲気にそぐわない彼女の笑いに周囲の人々が、一斉に二人を見た。
「いいわね!好きよその言葉!お褒めの言葉をありがとう、プリンセス!」
異様なほど上機嫌になった彼女は、瞳を恍惚と光らせて、背を向け、この場をあとにした。
ノエルは、彼女のドレスの大きく開いた背中を見つめていた。
周りの貴婦人たちは、扇子で口元を隠しながら、何やらこそこそと呟いていた。
ノエルは確信した。この城やギルも、全て彼女が操っているのだということを。
彼女はこのルカッサの玉座を狙っている。
ノエルは強く思った。バルバラをすぐにでも止めなければ。プリンセスとして、ルカッサを愛する一人の民として。

