オリオールの乙女


ノエルの反応に、バルバラは獲物を捕らえた蛇のような、満足した顔をした。

「あら、その表情は図星かしら」

彼女の声は、血を吸い尽くした枯れた大地のように、胸を掻き毟る。

「彼を知っているの?」

「知っている?そうね。よーく存じ上げているわ。

ワドレーヌ大聖堂の絵画のときからね。そして、あなたたちの〝最後の夜〟も」

彼女は自信たっぷりに言い切った。
ノエルは、背筋がぞくぞくっとし、頭にはカッと血がのぼった。

バルバラは、全てを知っていた。

ノエルとギルの関係も、そしてあの夜の口付けのことも。

「彼、エルタニンの出身ね。なかなか男らしくて、私は好きよ……あら、何かしらその顔。私に何か?」

「あなたって人は……人の血を食らう蛇そのものね」