オリオールの乙女


マーレは、恐怖で顔を真っ青にしていた。

ノエルは、親愛なる人たちが何かに恐れながら暮らす毎日を見て、ここはもう以前のシャルロワ城ではなくなったと感じるようになった。

一切外に出ることの許されなくなった彼女は、ルカッサの人たちの平穏で幸福な顔が見たいと、願ってやまなくなった。

もしかしたら、彼らはここまで不安定になったこの城や国に、愛想を尽かしてしまったかもしれない。

そう思うと、ノエルは胸が張り裂けそうになる。

ギルさえいてくれれば。
彼が唯一の救いだった。それももう、絶えかけようとしていた。

翌朝、やはりファジールのお告げは現実となった。

女王に名乗りをあげていた一人の貴族の女が、薔薇のトゲの毒で死んでしまった。

ぞろぞろと彼女の部屋の付近に群がる貴婦人たちの外で、ノエルもそれを見つめていた。