オリオールの乙女


「ようし、いい子だ」

ギルはそう言うと、片方の手でノエルの頭を撫でた。

ギルの大きくて温かい手は、いつも彼女を安心させる。

ギルの手は流れるように、彼女の絹糸のような繊細な銀色の長い髪を梳く。
ゆっくり下へ下へと指を滑らせても、彼女の髪は彼の指を一切絡ませはしなかった。

ノエルは俯いたままだ。彼の男らしい指が、精一杯の優しさを込めて彼女の髪を梳くのが分かる。
何とも言い表せない心地よさがあった。

ギルが手を離すと、ノエルの髪は蜘蛛のように糸を引いた。

彼の手は、ごく自然にノエルの顎に添えられ、指が形のよい唇を撫でた。

少し力を入れるだけで、ノエルの顎はすっと持ち上がった。一瞬だけ、二人の目が合う。