オリオールの乙女


「この小娘!おとなしくそのペンダントをよこしな!」

何と、壁画から上半身だけが姿を見せたバルバラの虚像が、ノエルを中へ引っ張り込もうとしていた。

「嫌よ!あなたには渡さないわ!!」

「ええい、小生意気な!」

すると、ノエルの胸のペンダントが今までにないほどの、強く強烈な光を放った。

「ぎゃああぁぁああぁ!!」

その光を浴びたバルバラの虚像が、突然苦しそうに叫び始めた。

「やめろ!ディディエか、それともジュディートの魂か!私の邪魔をするなどと!」

「……ジュディート聖女!?」

「マジャッラ!」

すかさずギルが叫ぶと、マジャッラがどこからともなくやって来て、バルバラに突進した。

バルバラは壁画の中へ押し戻されるようにして、消えてしまった。

残されたノエルは、息を乱しながら、元の光に戻ったペンダントと、それに照らされた痣のついた腕を見下ろしていた。