オリオールの乙女


そのページは、もう何度も幼い頃から読んでいて、折り目がその時の積み重なりを物語っている。

トリヴ人と巨人たちの争い。空に浮かぶ聖地。禁忌の真如の理。

ライトの側に置いてあるあのペンダントは、昨夜から弱い光を放っている。突如浮かび上がった王冠の紋章は、あのジュディートの墓と、全く同じものだった。

まだ定かではないが、何かが繋がろうとしていることは、ノエルも少し感じ取っていた。

「ノエル様!!」

すると突然、ノエルの扉が開け放たれ、マーレが息を切らしながら飛び込んできた。

「なあにマーレ、ノックもしないでどうしたの?」

ノエルは、マーレに落ち着いた様子でそう言ったが、何かおかしい様子に気がついた。

「……何かあったの?」

あの気の強いマーレが、今にも泣きそうな顔をしている。

「ああ……プリンセス……!」

ノエルがマーレに近づくと、彼女はがっくりと膝をついた。