雨の日の彼らの楽しみは、ワインを飲んだりひたすら本を読んだり、礼拝にいそしむことだった。
ギルは、雨に濡れないようマントに身を包み、レンガ畳みの坂道を登っていた。
朝の空気は神聖で、しかし雨の独特の臭いも混ざって、いつもよりは少しけだるい朝になってしまっていた。
街の教会から、少年たちの澄みきった聖歌が聞こえていた。人々も足を止めて、その清らかな声に聞き入っていた。
エルタニンは、どの大陸にも属さない島国で、またその文化も独特だった。
エルタニンの国土の大部分は密林で、気候は常に熱帯だ。彼の肌の浅黒さが、その土地柄を示している。
宗教も全く異なっており、エルタニンは神殿で神官が政を行い、乙女たちは巫女と呼ばれていた。
そのため、余計プリンセスというものに憧れを抱いていたのも事実だった。

