オリオールの乙女


ノエルが振り返ると、そこには大勢の兵を従えたバルバラが、階段の上に立っていた。
弓矢を構えていた兵士たちは、バルバラの掛け声と共に沢山の矢を放った。

「駄目よ!!」

しかし、とっさに叫んだノエルの声は、大量の矢が空気を切る音でかき消された。召使いたちも、悲鳴をあげている。


だが、不思議なことに放たれた矢は、ファジールの手前で停止した。
まるで念力のように、空中で停止した矢は、カランカランと音を立ててその場に落ちてしまった。

「馬鹿な!」

バルバラは激しく取り乱した。ノエルも、信じられないその光景を見つめていた。

ファジールはひと鳴きすると、柔らかい羽を広げ、外へと飛び立ってしまった。



ルカッサは、久しぶりの雨の朝を迎えていた。

雨のルカッサは、どことなく寂しい感じがする。表にはあまり人影もないし、街中を流れる運河に舟も見えない。