すると召使いたちの後ろから、ノエルが姿を現した。
ノエルは黙ったまま、召使いたちの中を分けてファジールの前にやって来た。
「ノエル様!」
彼女たちはうろたえていた。一方で、ノエルは不思議なくらい落ち着いていた。
「ファジール……」
ノエルが近づいても、ファジールは逃げることもせず、じっとノエルの目を見つめていた。
「どんな災いの予兆を知らせにきたの?」
ファジールはうつむいた。伏せた瞳が、きらりと光っていた。
「お前……泣いているの」
ノエルは、ファジールの柔らかい毛並みをそっと撫でた。ファジールは、気持ち良さそうに目を細めた。
「なんと……!」
遠くから見つめていた召使いたちは、その光景を見て息を飲むことしかできなかった。
一人の少女が、伝説のファジールと心を通わせていた。

