壁にはちょうど窓があって、中からルカッサの街並みが一望できる。
「しまった」
ギルはそう言うと、窓の木の戸を全開にして、外に繋いであるロープをたぐりよせた。外から、ロープに繋いであった服や下着が姿を見せた。
「洗濯物、干しっぱなしだったよ」
ギルは苦い顔をしていた。ノエルはその光景をほほえましく眺めていた。
ノエルは何もかもが新鮮だった。これが、昔から憧れていた秘密基地と完全に一致した。
「いいだろ、この場所」
ノエルは大きく首を縦に振った。
「夜になって辺りが静かになると、歯車たちの鼓動が聞こえるんだ。そして、俺との心臓の音と一致する。そしたら不思議と心が休まるんだ」
「うらやましいわ」
こうやって城から出て外で遊ぶことはできても、プリンセスは夜には決まって城に戻らなければならなかった。
「好きなときにまた来いよ」
「ええ」
陽が完全に傾くまで、まだしばらく時間はあった。

