その王冠を囲むようにして、ファジールが単調に描かれていた。
ファジール。伝説化された生物だった。一角獣であり、胴にはふわふわとした羽が生えている。
白と黒が存在し、白いファジールが訪れたときは新たなる生命の誕生や、めでたいことを示し、黒いファジールが現れると、死や災いの予兆だという言い伝えがある。
そして、壁画には巨人の像も描かれていた。彼らは、特徴のない姿をしていた。あるのは白い目だけだった。
「ギル、ここはお墓なの。もしかしたら、彼らが死んだジュディートの魂を守っているのかもしれない」
ギルは、静かに聞いていた。
「ねえ、オリオールを信じる?私、今でも空のどこかにあって、巨人たちが聖地を守っているって信じてるの。おかしい?」
そう言って、ノエルは小さくうずくまった。
「寒い。ここに来ると、いつも心が透かされたように寒くなるの」
ギルが、ノエルに触れた。

