ディディエは、困ったように微笑んだ。
「そうね、ノエルにはこの城は狭すぎるかもしれないわ」
そう言うと、ディディエは美しい首飾りをはずした。彼女の手のひらの上で、首飾りの宝石が七色に光った。
ミルバという海に住む巨大な魚のうろこだった。ミルバのうろこは高貴なものとして、代々王家の宝石に使われているものだ。
「これをノエルに与えるわ。あなたのおばあさま、ひいおばあさま、もっともっと昔から受け継がれているペンダントよ」
ディディエから首飾りを受け取ると、ノエルはそれを月にかざしてみせた。
「私に?」
「ええ。もう十分の年齢だわ。きっとあなたを真実へ導いてくれる」
ディディエは、茶目っ気たっぷりに微笑んだ。
今度はノエルの胸元で、その首飾りは七色の光を放っていた。
◇
バルバラは最高に機嫌が良かった。
ある薬が完成したのだ。バルバラは込み上げてくる笑いを止めることができなかった。
この数年間、彼女はずっとこの薬を作ることに全てを注いでいた。ありとあらゆる材料を使った。
若い女の血、リムの髭、司祭の賢い脳みそ、ギルバの赤い尾。
しかしそれは全て失敗に終わった。実験として飲ませた女たちは、みな死んだ。
けれど、今回は成功したのだ。

