「どうしたの、母上」
ノエルは、母のエメラルドグリーンの瞳を見つめ返した。
「いいえ、何でもないわ」
ディディエは、そう言って優しく微笑んだ。
「おかしな母上」
「ほら、ここにいても楽しくないわ。下に行ってらっしゃい。お前の好きなウノのフルーツジュースもあるわ」
ディディエがそう言うと、ノエルは嬉しそうに階段を小走りで降りて行った。その後姿を見ながら、ディディエは囁くように呟いた。
「デフロット、見ているかしら。貴方と私の娘が急に成長してしまったみたい」
デフロットとは、ノエルが小さい時に亡くなってしまった父だった。
「あの子は、こんなところで一生を終えてしまうような子じゃないのよ」
母はそう言うと、美しい自分の首飾りを撫でた。
「やあプリンセス、私と一曲どうでしょう」
振り返ると、そこにはレイジェスがいた。ノエルがにこりと微笑むと、レイジェスは彼女の手をさっと取った。

