ルカッサという王国は、海に開け、北部には山脈が連なっている。

レンガ造りの家が連なった街には常に音楽が溢れ、人々は暇さえあれば鼻歌を唄い、ワインをたしなみ、おしゃべりが大好きだった。

美味しい料理を食べるように、彼らは家々にお気に入りの絵を飾ることにも心惹かれていた。

そんなルカッサの芸術美溢れる陽気で朗らかな国柄は、多くの他国の芸術家などを自然と呼び、彼らはまたルカッサの地で幸福に生きた。

そこに、誰よりもルカッサ王国を愛する一人のプリンセスがいた。

彼女の名は、ノエル=ジルベール。

プリンセス・ノエルは、非常に魅力的な女性であり、彼女はルカッサを魔の手からも救った。

ルカッサ王国に代々伝わる、彼女のもろくも繊細な伝説がある。

それは、戯曲として今でもルカッサで広く語り継がれている。その戯曲名は、『オリオールの乙女』……。