―十年後―…(高三の冬)



「あー!!!」

円佳の家で、俺と瞬と三人で受験勉強をしてる時、円佳が大きな声を出した。

「なんだよ」

うるさくて、俺は少しキレ気味に返事を返した。

「瞬!恭平!覚えてる!?」

「なにがー?」

瞬はノートから一旦目を話して、円佳に聞く。
俺は興味無さそうに、勉強も碌にせずポテチを食べる。

「“タイプカプセル”!!十年前埋めたでしょ!?」

「………」

少しの沈黙が続いた後…

「あー!!!」

円佳と同じようにデカい声を出す瞬。

「うるせぇ」

俺は瞬を軽く蹴る。

「いてっ。なにすんだよ!てか恭平覚えてる!?」

「私達が忘れかけてたのに、恭平なんか覚えてるわけないじゃん!」

少し睨みながら円佳は俺に言う。
俺は円佳から目を逸らし

「んなガキの頃の話覚えてるかよ」

そう素気なく言った。

だけど本当は、覚えてた。
ずっと、忘れてなんかない。
二人より、あの日の事は鮮明に覚えている。

なのにどうしてか嘘を言ってしまった。

「ほらねー!やっぱり」

円佳は呆れて俺から目を離して瞬を見る。

「ねぇ今度掘り返しに行こうよ!」

「いいね~!賛成!」

睨んでいても良いから、俺だけを見てほしかった。
円佳の瞳に、俺だけ映っていたかった。

「恭平も行こうな!」

勝手に話を進める瞬と円佳。

「けってーい!」