―七年後―…


「きょうへーい!」

周りの木に咲いた桜の花が、ひらひらと落ちる。
そんなピンク色に囲まれて、円佳が遠くで俺の名前を呼ぶ。

「ハイハイ」

俺は手を大きく振る円佳のもとへ小走りで行く。

あれからまた七年後。
俺たちはもうとっくに成人していて、職についていた。

そして今日。
あの時埋めて、いまだ掘り返されていないタイムカプセルを、掘り返す。

昔埋めた時みたいに、円佳が俺を呼んで、
俺は円佳のもとへ行く。

ただ一つ、欠けているのは

アイツだけだった――……


「そんなにデカイの持って来たのかよ!?」

「当たり前じゃーん!もう十七年も埋めてるからきっと掘り返しにくいよぉ~?」

デカいデカいスコップを振りかざす円佳。

「早くやっちまうぞ」

「うんっ」

今日。
俺たちの思い出がまたひとつ出てくる。

そうか。
あれからもう十七年も経ってしまったのか。
掘り返す前に、色んな事があったな…。

「硬い~!ちょっと!恭平やって」

土が硬いのか、スコップをぶっきら棒に俺に渡す円佳。
俺はそれをしぶしぶ受け取ると、一気にザクザク掘り返した。