「あぁちょうどよかった、三枝、上代」 言い合いを続けていた私たちはぴたりと動きを止める。 いっそのこと息の根まで止めてしまえたらどんなに楽だっただろう。 「そこの窓ガラスが割れていたんだが、犯人を知らないか。 …なぁ、上代?」 にっこりと微笑みながら空也のこめかみを押しつぶすその動作は、相変わらず容赦ない。 空也はといえばもう失神寸前だ。 声も上げられないぐらい痛いらしい。 「や、山原先生…」 彼女は山原千春(ヤマハラ チハル)先生。 世界史の担当兼、生徒会執行部の顧問である。