盛大にため息をついている私の横で、空也は何だかうれしそうだ。
「何喜んでんのよぉ」
人の不幸は蜜の味とでも言いたいのか。
うらめしげに鋭い眼光を放つ私に、空也は目を逸らしつつとぼけるように言った。
「べ、別に喜んでねぇよ!バカじゃねぇの」
わけわかんない。
一発殴っても許されるだろうか、いや許されるはずだ。
「あんた、いい加減にしてよね。迷惑かけられるこっちの身にもなってよ」
私は正論を言ったはずだ。
なのにこの生徒会長といったら、とんでもないことを言い始める。
「おいおい、樹。ヒーローが目立つ手助けをするのが脇役の務めだろ?」
「誰がヒーローで誰が脇役だ」
いっそのことその口、裁縫セットで縫いつけてやろうか。
きっと世の中のためになる。


