悪役ヒーロー見参!!



…なんてことを考えていると、空也にじとっと睨まれた。

やば、思考読まれた?


目を合わせた瞬間、笑いをこらえるのが大変だった。

「空也」

「あ?」

「クリーム付いてるよ」


彼の頬に付いた生クリームを指で拭って何の気なしに舐めてみたけれど。

「あ…っまー…」

甘い、甘すぎる。

やっぱり甘いものは苦手だ。


カシャンとスプーンが落ちた音に顔を上げると、空也が茹でダコみたいになっていた。

…私、なんかしたっけか。