反対方向に帰る栗や嵐に手を振って。 私たちはケーキ屋の前に立っていた。 「…空也」 「樹…」 私たちが思ったことはきっと同じだろう。 「「超気まずい…」」 それもそのはず。 甘い匂いが充満する店内は、カップルたちの甘い雰囲気に満たされていた。 「え、ほんとに入るの?」 「う、は、入るに決まってんだろ!こんなことでひるんでどうする!」 「いや、そういう問題じゃなくってさ…」 私が心配しているのは…。 「私たち、カップルに見られないかな?」