そもそも私は甘いものがそんなに好きじゃない。
口の中を甘さが支配するあの感じが、何だか苦手なのだ。
「男一人で行くの、なんか変だろ?樹も一緒に行こうぜ」
「ヤダ」
なんでわざわざテスト明けの貴重な時間を、こいつと過ごさなきゃいけないのか。
しかも好きでもないケーキを食べに行くなんて。
「わかったよ、その後で樹の好きな雑貨屋に寄ってやるから!
えーっと、何だっけ。【アイスクリーム】だっけ」
「違う!【アイリス】よ」
空也行きつけのケーキ屋の近くには、私が大好きな雑貨屋がある。
【アイリス】の雑貨はほんとにかわいくて、お気に入りなのだ。


