顔を上げると、バンソウコウや包帯まみれの女の子が私を睨んでいた。 ふわふわ揺れる茶色いボブカットだけが、何だか浮いていた。 「じゃあどうすればいいですか?」 女の子は目をパチクリさせた後、うーん…と考え込んでしまった。 あ、ていうか早く帰りたかったのに。 「…あぁそうだ、これあげます。どうぞ」 私は鞄の中からチョコレートの包みを取り出して、彼女に渡した。 そう、それがすべての始まりだった。