「へーぇ。一発殴ってもいい?」
「おぅ!…って、えぇ!?ちょ、ちょっと待て!」
握りこぶしをつくる私の前で、体中の血を全部抜いたように青白い顔をした空也がわたわたしている。
「落ち着こうぜ樹。お前はそんなバイオレンスキャラじゃないはずだ、うん。きっとそうだ」
「何ひとりで自己完結させてんだ」
イライラが増す私に、ようやく落ち着いたらしい栗が今度はけたけたと笑い始める。
「くーちゃんがイッちゃんの尻に敷かれとるべー」
「なっ、俺は尻に敷かれてなんてねぇ!」
「いいから誰か準備手伝ってよ!」
騒がしい私たちをよそに、静かな奴がひとり。
いや、こいつは普段から静かなんだけどさ。


