その時、バンと派手な音を立てて体育館のドアが開いた。
「悪い、遅くなった」
いつも綺麗にセットしてある髪を乱し、きっちり整えてある制服も崩れた嵐が、息切れしながら言う。
遅くなったと言っても、チャイムが鳴ったのはついさっきだ。
全然待っていないのに「お待たせしましたー」と言うファーストフード店の店員さんぐらい不自然だ。
「この俺が、俺としたことが、3分も集合時刻に遅れるなんて…!!」
今にも床に這いつくばって後悔しそうな顔をしている。
「あのさ、全然待ってないから大丈夫だよ」
そうフォローを入れたものの、嵐にとっては侮辱にしかならないらしい。
「情けなどいらん!くそぅ、俺はもうダメだ。今すぐ副会長選挙をしろ、俺は副会長を辞めて海に身投げしてくる」
「…バカじゃないの」


