悪役ヒーロー見参!!



「…あっ!」

空也に揺さぶられた腕が、押そうとしていたのとは違うキーを押してしまう。

打ち間違えた…。


「ちょっと、打ち間違えたじゃんか!どうしてくれんのよ!」

「しっ、知らねーよそんなの…」

ごにょごにょと言い訳している空也を見て、いい加減私も堪忍袋の緒が切れる。

電卓が乗っている机をてのひらで思い切り叩いて、


「空也のバカ!大っ嫌い!!」

もとから好きなわけでもないのにそんな捨て台詞を吐いて、生徒会室を飛び出した。


「イッちゃーん!」

後ろから聞こえてくる栗の声は、みるみる遠ざかっていく。

空也は声をかけもしない。
嵐もそうだけど、それは置いといて。


…ほんと、バカじゃないの、あいつ。