悪役ヒーロー見参!!



私は大げさにため息をつきながら頷く。

「しょうがないなぁ。いいよね、嵐。…って、あれ、嵐?」


いつの間にか嵐がいない。

これは、これはまさか。

私も空也と同じ状況に陥ってしまったと言うのか。


冗談じゃないよ、ほんとに。


「ほ、ほら、行くよ!」

空也の手を引っ張って進むと、怖いものも怖くなくなった。

だって…。

「うらめしぃぃぃ…」

「ぎゃあぁぁぁ!!!」


空也がすごい勢いで怖がってるから、私まで怖がるわけにいかないよ。