憎しみ、嫉妬、怒り、悲しみ、寂しさ。



暗くて、冷たくて、鋭く光る刃物のような感情が肩の、男の触れた部分から伝わってきた。






「う、うわぁぁああぁああぁ!!!」



そのとたん、僕の体を縛っていたものが
プッツンと音を立てて切れた。




「わたしはもう一本傘をもっているから
 それを貸してあげよう。
 あ、キミ!!!待ちたまえ!!!
 まだ傘を渡してな・・・」



そこから先は、なにもきこえなかった。
僕は一目散に駆け出していたから。


怖い怖い怖い怖い怖い怖い


その気持ちだけだった。
その気持ちだけが、今の僕を制御しているといっても良かった。