「ああ、やっぱり…」

九曜は頭を抱えながら、本殿の中へと足を踏み入れた。

最近、神社の関係者達が騒いでいた。

神社で祀っているご神体を盗む窃盗犯がいることを。

何でも日本のご神体は、外国で人気が高いらしく、高値で取り引きされるらしい。

ゆえに犯人も日本人もいるが、外国人の窃盗団であることもあるらしい。

気を付けようと、意見が出ていた中でのトラブル。

しかも盗まれたご神体は、外国へ持って行かれたら見つけ出すのは困難だと言われている。

「盗まれた鏡ですけど…大丈夫、ではないですよね?」

「当たり前でしょう? お前も分かっているはずですよ? あの鏡が何なのかを」

「それ、は…」

三年ほど前、九門は九曜を連れてここに来た。

この神社に祭っているご神体の鏡を見せる為に。

そして九曜は視てしまったのだ。

ご神体の正体を。

当時のことを思い出し、九曜の体は恐怖で震えた。