九曜は洋服に着替え、祖父に連れられ、上村家が管理する神社へやって来た。

九門からさんざん説教されていたせいか、一応外見は見れる神社となっている。

「あのお祖父さま、上村のおじさんは何と言ってきたんですか?」

「神社で管理しているご神体が盗まれたそうです」

「そうですか…って、えええっ!?」

本殿を前にして、九曜は絶叫を上げた。

「ご神体って…あの鏡ですよね?」

「ええ、お前にも見せたことがありましたね。あの鏡です」

九門は眼鏡の奥の眼を、スッと細める。

「今朝、この神社にきた上村さんが気付いたそうです。本殿の扉が何者かに破壊され、中のご神体が無くなっていることを」

賽銭箱を通り、本殿の扉の前に来る。

遠目では分からなかったものの、近くに来ると、確かに扉は壊されていた。

足元には南京錠が落ちており、扉の鍵の部分も変形している。

「あの、警察には?」

「一番に連絡したそうです。警察の見解では、そういうのを専門にした窃盗犯だろうとのことです」