「榊部長は…想像できないな」

所属するオカルト研究部部長の榊は、根っからのオカルトマニア。

自分達のように不思議な能力は持たないものの、彼の知識には誰もが舌を巻く。

「まあ研究者タイプの人ってマメな人が多いって言うし、ちゃんとやりそうだけど…」

「何をブツブツ言っているんだ? 九曜くん」

「うわっ!?」

突如、後ろから声をかけられ、九曜は飛び上がった。

「あっ、上村(かみむら)のおじさん。久し振りですね」

「こんにちは。お祖父さん、いらっしゃるかな?」

「はい。本殿の方にいると思います。ご案内します」

「頼むよ」

九曜は箒を持ちながら、歩き出した。

「今日はどうしたんです?」

上村はこの近所にある小さな神社の管理者だった。

しかし彼が神主というワケではない。

神社を建てたのは彼の先祖だが、今では放置している。

「うん…ちょっと困ったことになってね。お祖父さんに力になってもらいたんだ」

「はあ…」