家にとって九門の言うことは絶対。

九曜は心の中で感謝したが、入学後、実は祖父も母も光輪学院の出身だと聞いた時には、流石に開いた口が塞がらなかった。

「…あの学院の封印はいつになっても壊され、そして守られるんですね」

灰色の空を見上げながら、九門は遠い眼をした。

「お祖父さまの時も、母さんの時も、封印はあったんですよね?」

「ええ。私もお前の母も、封印に携わりました。封話部の部員でしたしね」

神無月の家と同じく、九曜の家も代々、光輪学院の封印に関わってきたのだ。

九曜はそれを入学するまで知らなかった。

だが―九曜は選んでしまった。

誰に勧められたワケでもないのに、あの学院を。

「…お祖父さまは、運命というものを信じますか?」

「どちらかと言えば、縁の方を信じています。ですが人によっては良い縁と悪い縁があります」

そこまで言って、九門は鋭い光を眼と口調に表した。

「悪い縁の代表が、上村さんとご神体の関係ですね」