真輔の風


龍雄は、まさか真輔に限ってそんなことはないだろう、と思いながら、

内心、戸惑った。


いつもは女がどうのこうの、の話でも淡々と、

小説と現実の境のないような事を、

澄ました顔で話す真輔が、

今日はちょっとばかり様子が違うと感じられる。


しかし… まさか… 




「抱きたいのではなくて抱いた。

茜を抱いたのは、

あいつがヒステリーを起こしたから黙らせようとしたからだが… 」


「お前、本当に抱いたのか。」




その言葉に、まず龍雄は驚いた。




「ああ、ヒステリーの女にはそれが一番だから。

確かに効き目はあったが… 」




と、真輔の口からは龍雄が唖然とするような言葉が… 




「あいつがヒステリー… 
それでお前が抱きついたのか。」


「ああ… 問題はその後だ。

龍雄、お前は女を抱いたとき、変な気持ちにならなかったか。」


「変な気持ち… 」


「上手く言えないが… ずっと抱いていたかった。

股間がすごく熱くなった、
いや、体中が熱くなった。」


「真輔… 勃起したのか。
それでどうした。」




まさか… とは思うものの、真輔だって男だ、

女を感じれば勃起だってするだろう。

が、それを事細かに自分に話す真輔に… 

やはり普通ではない。

いや、あまりにも子供っぽい真輔だ。