「うちに無料のクラブ券があって…
毎日ではもたないけど、四人が週に二度位なら大丈夫。
ねえ、一緒にやりましょうよ。」
「いいのか。俺、スポーツクラブは初めてだ。」
茜の言葉で、信一は嬉しそうに興奮している。
「私だってよ。真輔君、いいでしょ。」
真輔は茜の誘いの声を無視して、
信一の顔を見ただけで何の反応もしない。
「真輔、これからはスポーツにも挑戦しろよ。
じいちゃんと剣道だけでは物足りないだろう。
学校では… まあ、好きにしていたら良いけど、
この夏休みは四人でテニスをしようぜ。
龍雄は夏休み中、病院でせいぜいリハビリだ。
聞いたら驚くぞ。
さあ、龍雄が待っているから行こうぜ。」
と、信一が友達らしくまとめの言葉を出した。
「悪いけど、私、今日は帰る。今から塾なの。
私、母のように手先が器用ではないから会計士か税理士になりたいと思っているの。
夢だけどね。」
「へえ、川崎さんももう将来のことを決めているのか。
大丈夫、川崎さんならなれるよ。なあ、真輔。」
と、信一が声をかけているが、相変わらず真輔は無言のままだ。
「じゃあ、明日、二時集合でどう。
屋上だけど日よけが出来ているらしいから…
長くても二時間位なら吉沢さんも大丈夫でしょう。」
「はい、大丈夫です。」

