真輔の風


若い性の衝動… 祖母の声がなかったら、

真輔はそのまま気持ちの欲するままに進んで行っていた事だろう。

若い男の性の目覚めは、

極端で一直線なのだ。


茜はいつもようにポンポン言わずおとなしい。

そして、祖母の声で真輔から離れ… 

爽やかな顔をして真輔を見つめ、

それから階段を下りていった。


残された真輔… 

しばらくは自己分析が出来なかった。

いきなりこみ上げてきた熱い感情、

茜にキスをしたくなったあの時… 

あれは本物の心だった。





「真輔、いつまでそこにいるの。
川崎さんが病院まで乗せて行ってくれるから、
早く降りてきなさい。」


「いいよ。一人で行くから… 」





茜と一緒に車に乗ったら… 
またさっきの気持ちになるかも知れない。

茜はいい香がしていた。

一緒に乗れば思い出してしまう。


茜にキスをしたくなれば… 

きっとおばさんが怒るだろう。

祖父母に話すかも知れない。



真輔は初めての感情に戸惑っていた。