「いや。俺らは友達」

普通に、あっさりと否定された。

答えが気になって、ドキドキしてしまった自分がバカみたい。

「そうそう。
付き合ってるわけないじゃん!」

自分でもびっくりするくらいの大声で、思いっきり否定する。

それが隆の答えだというのなら、あたしも好きになってはいけないんだ。

隆に恋をしたらダメ!

自分に言い聞かせる。
念を押すように…。

「…そうなんだ。
だけど結構似合ってるよ?
ふたり。

ねぇ?」

と、万理は隣の彼に同意を求めた。

「ああ。
違和感ないって」

ニヤニヤしながら、彼もそう答えた。

ふたりには、完全にからかわれてるから。

「そお?
ありがと」

と、軽いノリで、あしらった。

隆はちょっと不満そうな表情をしているけれど、

「じゃあね〜」

隆に右腕を絡ませ、左手をヒラヒラさせて、ふたりの横を通り過ぎる。

これ以上、あの場にいたら自分がどんどん惨めになっていく気がする。

似合ってると言われても、全然嬉しくない。

「なんか、怒ってる?」

隆は聞いてくるけど、

「べっつに!!」

拗ねた子供のように、素っ気なく答えた。