「ありがとうございます」

丁寧にあいさつをして、お盆を受け取った隆は、あたし達の間にお盆を置いて、

「食べようか?」

と、お団子を手に取った。

「うん」

あたしも、お皿の団子を取り、一つ頬張る。

醤油団子は、普段あまり食べないけれど、

「おいしいね!」

さっぱりしていて、おいしかった。

お茶を飲み、至福の時。

気持ちが、あの時代そのものを堪能していた。

「ここから、この景色を見ていたんだね?」

辺り一面を見渡す。

と、あたしの視線は一本の桜に目を奪われる。

おいで…。おいで…。

誘われるように、あたしはその桜の木に向かい、幹に触れてみた。

目を閉じると、ある光景が目に浮かぶ。



「千。わしはなんと愚かな人間であろうか?」

「お前の美しさを自分だけのものにしようなどと…」

「景丸に渡すくらいなら、この手で切り裂いてしまおうなどと…」

「嫉妬が、お前から愛する者を奪ってしもうた…」

「許しておくれ…」


涙を流し、景丸の身体に土をかぶせている。

「景丸。お前にも、すまないことをした…」

それがせめてもの罪滅ぼしとばかりに、かぶせた土の上に桜の苗木を植えた。