入り口の側には注意事項が書かれた看板

初級、中級、上級への行き方が詳しく説明されていた

俺が向かう場所は勿論、上級者コース

頂上までどのくらいの時間がかかるのか検討もつかない

だけど夕方までには必ずたどり着いてみせる



『しっかり掴まっててね』

俺は彼女の手を腰に回してギュッとした


『ゆっくりでいいよ。ゆっくり二人で頑張ろう』

彼女はそう言ってニコリと笑った


上級者コースの始めは普通の一本道で余裕だったけど、

だんだん道がカーブしたり、坂道になっていくのを感じた

いよいよ頂上に向けての険しいコースが始まるらしい


自分では気付かなかったけど、ここまで来る3時間の道のりで足は大分疲れていたみたいだ

少し坂道を登るだけで足が重い


『大丈夫……?』

後ろに乗っている彼女が心配そうにしていた


『大丈夫だよ』

俺の額からは汗が滲み出ていた


9月になったとはいえ、夏の暑さはまだ残っている


真夏じゃないのが唯一の救いで、暑さに体力を奪われないように呼吸を整えた



『何も出来なくてごめんね』


『何もしなくていいよ。後ろに乗っているだけで頑張れるから』