長い道のりに俺は不安よりも嬉しさが上回っていた


だって距離が長ければ長い程彼女と一緒に居れるから

途中何回も休憩をして、ゆっくりと目的まで進んで行った


田舎町を離れ、人や車が多い町に近付くとやっと遠出しているんだと実感した


白いガードレールがある道を俺は快調に進む

左を見れば山、右を見ればたくさんの車が通る道

行く場所によってこんなに周りの風景が違うんだと思った


『……ごめんな。もっと早く色々な所に連れて行ってあげれば良かった』

気付くと俺はそんな言葉を彼女に言っていた


彼女と居ればどこに居ても楽しかったし、きっと彼女も同じだと思う


だけど移動手段が自転車しかないからとか、時間がかかるからとか

そんな小さな事なんて気にしないでもっと色々な場所に行けば良かった


自転車だって遠くに行ける

例え徒歩でも遠くに行けた

こんな風になる前に、彼女が元気なうちに連れて行ってあげればよかった


『それならこれから連れて行ってよ。私ずっと幸汰の側に居るから』

背中に彼女の温もりを感じた