俺はその日、伝えようプロジェクトの紙に文字を書いた

31日に書くと決めていたけどやめた


今思う事、彼女に伝えたい事が俺の全てだと思うから


俺は彼女の病室を出た後、その紙をロビーにあるボックスの中に入れた

ボックスの中には複数の紙が入っていて、この紙全部が大切なメッセージ


親、
兄弟、
親戚、
友達、
恋人、
先生、

人によって伝えたい人、伝えたい事は違うけど

伝えたいと思える存在が居る事が幸せな事なのだと気付いた


9月の1日、きっとこのロビーには幸せが溢れるんだと思う

それを見て誰かが元気になればいい

それで幸せだと感じて欲しい

勿論、彼女も



-----8月の最終日、俺は早く目が覚めた


蒸し暑かった事もあるけど、起きてしまった理由は一本の電話


--リリリリリーンと古い型の電話が自宅の一階から鳴り響いていた


親は仕事に出掛けていて誰も出ない

その電話の音はやけにうるさく感じた


俺は渋々階段を降りて、電話を手に取った



『はい』

テレビも何も付いていない居間はシーンとしていて、
台所の換気扇の音だけが耳に残った



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