俺はその日、無理だと分かっていながら病院の先生に言ってみた


『1日だけも彼女の外出許可を出せませんか?』


ダメ元で頼んだ結果は勿論NOだった


俺はそれでも何度も先生に頼みこんだ

だけど先生は首を横に振るだけ

俺だって分かっている


体調が良くない彼女を外に連れ出せない事ぐらい


でもどうしても彼女に外の空気を吸わせてあげたい


小さな窓から見える青空じゃなくて、見上げて見る青空を

彼女が好きな俺達が育った町を体全部で感じて欲しかった


仲のいい看護婦さんに相談したら、

『一週間以内に熱が下がって体調が良くなったら私からも頼んであげる』と言ってくれた


本当は看護婦さんだってこんな事頼める立場ではないんだと思う


だけど彼女の事をずっと見てきたのは俺だけじゃなく、周りの看護婦さんも一緒だった



まだ決定事項じゃないから、彼女に言うのはどうかと思ったけど

彼女の意見もちゃんと聞いて決めないといけないと思い、彼女にそれを伝えたら…


『なにがなんでも一週間以内に元気になるよ』と笑っていた


今日の日付は8月20日

上手く行けば8月中か9月上旬に彼女は1日だけ外に出られるかもしれない