----8月も半ばになった頃、俺は以前言っていた工場に就職が決まった


実はその工場を紹介してくれたのはチヨばあちゃん


ばあちゃんの息子さんはその工場で長年働いているらしく

ばあちゃんが直接、息子さんに頼んでくれて実現したこの就職


一様、面接は行われたけど初めから俺を採用するつもりだったと後から聞かされた


難しいとされていた就職先が決まり、俺は少しだけホッとしていた


例え遠くの方で仕事が決まってもこの町を離れる気なんてないけど

遠くより近い方が有難いのは事実


高校を卒業したら仕事をして、絶対に車の免許を取ると決めていた


車があればどこにだって行けるし、移動時間も短縮できる

それと…やっぱりいい加減携帯は持っていないと不便過ぎる


病院で携帯は使えないけど、俺が高校を卒業する頃には彼女は退院できるかもしれないし

働けば彼女の携帯代も払ってあげられる


そうしたらきっと絶対、今より不便な事が大幅に減るだろう


それを彼女に言ったら『不便なんて今まで一度も感じた事ないよ』と言っていた

少し彼女らしいと思った


不満や愚痴を言わない所

いや、全てをプラスに考え楽しむ事が出来る事


年を取っても彼女となら田んぼ道を自転車で走れると思った

それも絶対悪くない