---どのくらい時間が経っただろう

多分あれから30分は経ったと思う


時計はないから定かではないけど、今まで彼女がこんなに遅れる事はなかった


慣れない雪道に苦戦しているのか、

それとも俺が早く来すぎてしまっただけかもしれない


だけど彼女はそれからどれだけ待っても来なかった



何かあったのかもしれない

不安が募ったけど、とりあえず俺は一人で学校に向かった


自分が思ってた以上に時間は過ぎていて、俺が学校に着いた頃には1時限目の授業の最中だった


教室にも彼女の姿はなく、彼女が座っている席は空席


後で周りに聞くと彼女は今日風邪で欠席だと学校に連絡があったらしい


俺は事故などをしていない彼女に安心し、同時にやっぱり風邪をひいてしまったと思った



彼女は体が弱い訳ではないけど、風邪はひきやすかった


学校を休む程ではないけど咳き込んだり、頭が痛いと度々言っていたから


こんな時、携帯が手元にあったらって心底思う


連絡さえ取れればこんなに行き違う事はないし、

今だって彼女に『大丈夫?』の一言が伝えられる



この町で学生の間バイトしている人は少ない

大人でも働く所がないのに、学生が小遣い稼ぎできる場所なんてないから


……そう言えばここから30キロ離れた町にコンビニがあって、そこでバイト募集の貼り紙がしてあったかもしれない



自宅から自転車で通うのは大変だけど、今は携帯が欲しくて仕方がない

欲言えば彼女の分も