『もしかして幸汰君の彼女かい?』
チヨばあちゃんが彼女を見つけ、それと同時に彼女は軽く頭を下げた
『……………うん』
俺は照れながら小さく返事をした
『幸汰君もそんな歳になったんだね。優しい子だから仲良くしてあげてね』
チヨばあちゃんは彼女にそう言って家路へと歩いて行った
『やっぱり幸汰君は私の思ってた通りの人だった』
再び2人きりになり、彼女がふっと俺に言った
『え……?』
思わず聞き返してしまった俺は彼女の次の言葉を待った
『好きになって良かった、幸汰君の事』
彼女はそう言うと自転車のペダルをこぎ始めた
彼女との距離が離れていく中、彼女はこっちを振り向きニコリと笑った
俺は耳まで真っ赤になってしまい、ドキドキが止まらない
慌ててペダルに足をかけ、彼女に追い付いたけれど俺の鼓動はまだ速い
その間、田んぼ道を風が通り過ぎた
風は冷たくて、今の俺には丁度いい
何もない田舎町だけど、彼女が居るだけでどうしようもなく楽しく思える
この時間が永遠に続けばいいと願った
彼女とずっと一緒に居られたらいいと、そう思い続けた