俺達は学校の帰り道にいつも彼女と別れる場所で待ち合わせをした


普段付けない時計をしてみたけど、時計の針が動いていない事に気付きため息が出た


携帯もこの町ではあまり必要性がなく、同級生でも持っていない人の方が多い


正直、親や周りの大人が時代に付いていけてない人達ばかりで携帯を買ってもらえないのが現実


俺や彼女も勿論そのひとりで、待ち合わせ時間を決めたけど時計がない今は何時かも分からない


早く来すぎたのかな?

それとも遅刻したかな、なんて不安に思っていると……


長く続く田んぼ道に自転車をこぐ人影が見えた

その影が近づいてくる度に俺の心臓はドクン…ドクンと跳ね上がる


そこに居たのは普段見慣れている制服姿の彼女ではなく、真っ白いワンピースを来た彼女


肩まで伸びた黒髪は僅かに耳にかかっていて、少し大人っぽく感じた



『ごめんね、ちょっと遅れちゃって……』

彼女は俺の隣に自転車を止め、乱れた前髪を直した


その姿にまたドキッとして俺は不自然に顔を背けた


『……ぜ、全然大丈夫』


普段から可愛い彼女がもっと可愛く見えて、俺はまともに顔を見れなかった


『い、行こうか…』


俺はペダルに足をかけ、自転車をこぎ始めた

俺の格好はラフなTシャツに動きやすい半ズボン


もう少しマシな洋服を来てくれば良かったとものすごく後悔していた