さらに、追い打ちをかけるように、麻紀が、
「今、2対2なんかやってるけど、
どこが悪いか、全然判らないじゃない
アケ、あんたが、教えてくれるの?」
「いや、それは……」
それを言われると明美は、反論できなかった
元々、試合経験も少ないので、
プレーに関しては、自信のある事を、
言うことは出来なかった。
しかし佐紀は、“それは、わかる人が言えば
いいのではないか“と思った。
それは、キャプテンの仕事ではない。
そうも思ったが、口に出すことは
出来なかった
麻紀も、それは知っていた。
ただ、噴出する不満を抑えきれず、
つい、言ってしまったのだった。
佐紀は、麻紀がプレーについて、
いろいろ言えば、もっとレベルも上がるのに
と思った。
「また、コーチに、頼んでみる」
明美は、小さな声で、そう言った。
「もう、頼むよ」
麻紀も、言い過ぎたと思ったのか、
それ以上は、言わなかった。
「じゃあ、このメニューで、始めるよ」
明美は、最初の明るい声とは違って、
明らかにトーンは落ちていた。
そして、覇気のない練習が、始まった。

