放課後の、体育館。

練習に入る前に、明美が皆を集め、
1枚の紙を取り出した。


  「コーチから、新しい練習メニューを
   もらって来たよ。

   今日から、これでやるから」


同じ練習に飽きていた梨沙は、嬉しそう。

しかし、麻紀は、


  「コーチは、どうだって?
   来てくれるの?」


  「いや、それは、言ってなかった」


  「何で、ちゃんと言わないの。
   新人戦だって、あるのに」


2年生の中に、今まで抑えていた不満が、
再び、顔を見せ始めた。


  「知ってる限りでは、今まで全部、
   県大会に、行ってるんだよ。

   私らで途切れたら、先輩たちに、
   何て言うんだよ」


  「そうだよ。早く来てくれないと、
   勝てないじゃん」


明美としては、新しいメニューをもらって、
意気揚々と帰って来たのだが、
2年生の不満は、それでは治まらなかった。

佐紀達1年生は、横で、そのやり取りを、
聞くだけしか、出来なかった。